2010年11月8日月曜日

黒斑へ。

秋も終盤、里の葉も随分色づき始めた。大河原では冬の景色に近づきつつあったので、浅間の方に行ってみる事にした。石尊山あたりがちょうどよさそうだったが、ここは頂上までが長いので、とりあえずは手っ取り早く登れる高峰方面を目指す事にした。水ノ塔を目指すか、黒斑を目指すかは、車坂峠についてから決める事にした。

峠への途中までの道は、唐松の黄葉がすばらしかった。ここも、2000メートルまでいくと、紅葉は終わっている感じがした。


車坂峠からの眺望は素晴らしく、八ヶ岳はもちろん、その手前に広がる佐久平に靄の溜まる様は、秋の終わりの風景にふさわしいものであった。


車坂峠は面白い場所である。実は、信州側の麓(小諸や軽井沢など)に降りると、電気の周波数は関西と同じ60Hzなのだが、同じ小諸に属する高峰温泉は関東と同じ50Hzなのである。もちろん、車坂峠の県境を越えた群馬嬬恋はおそらく50Hzであろう。つまり、ここは関西と関東の電気的な境界なのである。

車坂峠で左右の様子を見渡して、今回は浅間により近い、黒斑山に登る事にした。この山は浅間の外輪山の一つで、軽井沢あたりからは想像もつかないような別の顔を見せてくれる。実は、黒斑からの景色は、私には「地獄の入り口」のように映るため、精神的にちょっと苦手である。居てもたってもいられない、そんな不安を呼び起こす魔界のような風景である。

今回、頂上からは富士山が見えた。さらに、御岳、槍、穂高などの北アルプス、木曽駒の中央アルプスがはっきりと拝め、赤石を含む南アルプスは八ツの向うに微かに見えた。佐久平は相変わらず靄のなかにあって、きっとそこから浅間を見上げる人たちは「今日は、浅間に雲がかかっている」と思うのだろう.本当は、彼らの頭のすぐ上に靄がかかっているだけで、浅間自体は快晴なのである。

秋風の吹く黒斑にて詠める:
浅間嶺の靄の向うは鬼の城

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