日本人は今、「放射能汚染」の2つ目の意味を噛み締めている。もちろん、苦虫を噛み潰したときの強烈な苦みをだ。
最初は、汚染されたということの意味を、放射線を浴びて健康を損ねるから恐いことだ、と理解した。水を飲んだら甲状腺癌になるとか、魚を食べたら白血病になるとか、直接的なタイプの恐怖だ。BSEのとき、鳥インフルエンザのとき、O157のときなんかと似たようなタイプの恐怖だ。しかし、こういう病原菌やバクテリアはそのうち下火になって、どこかへ消えてしまう。この手の「恐怖」が一年以上続くことはまずない。
今、日本人(といっても主に東日本の人たち)が感じている恐怖は、上のタイプの恐怖に加えて、放射能汚染はなかなか消えてなくならないというものだ。それは、むしろ時間が経つにつれて汚染の範囲が広がっているような錯覚さえ感じる。半減期の長い放射性原子核の性質を知りもしないくせに、平然と原発を利用していたツケがついに回って来た。「事故が起きたら取り返しがつかないことになる」というのは、まさにこのことだったのだ。100年以上も消えてなくならないものは、取り除いて「隔離」するしかない。
店頭に今並ぶアエラの記事に、小出氏のインタビュー記事があった。汚染物や放射性廃棄物の「貯蔵場所」などと政府は表現して、それはあたかも年代もののワインでも保管しておく場所のような言い方をしているが、それはまったくもって不適当だ。正確に表現するならば、小出氏のいう「核の墓場」がふさわしい。つまり、そこに入ったらもう二度と出て来てはならないのである。呪われた物質を封印し、現世に戻らないように閉じ込める場所、それがいわゆる「核廃棄物貯蔵所」だ。こんな施設を清浄な場所にわざわざつくるなんてことは、果たしてありえるんだろうか?小出氏は、「放射性物質は東京電力の持ち物なので、速やかに返却すべし」と主張している。その宛先は、まずは東電の社長室、そしてそこが満杯になったら福島第一発電所の原子炉だという。これには誰も否定できないだろう。この二つの住所はいろんな意味ですでに不浄の地なり。
4 件のコメント:
こういうサイト見つけました。児玉龍彦先生が10月5日に東京を出発し、南相馬市に至るまでの全行程放射線量、CPMが読みとれるサイト。最大値は原発真西の大熊町内で毎時23マイクロシーベルト、ということです。足立の小学校といい、行政に任せず市民たちが計測していくことが大事ですね。
http://maps.safecast.org/drive/296
情報ありがとうございます。たぶん自動車で走り抜けながらの自動測定ですね。これだと柏も足立もなんともないように見えますから、福島原発の周辺がいかに深刻かわかります。
児玉さんは除染作業を行っているそうですが、最近は除染の効果があまり見られなくなってきているという話しも聞きます.また、除染といっても、土などをはぎ取るだけですから、低レベルの廃棄物となるだけで、その管理場所、つまり核の墓場が必要になります。
墓守に進んでなる人はいませんから、除染という作業もいずれはできなくなってくるかもしれません。
確かに、足立も三郷もそんなに高くないですね。道路だからでしょうか。柏も少し北のほうになると若干高めに出てるようですが。なので細かい場所ごとの測定が大事なのでしょうね。ただ、ここにきて、このマップや、kuzzilaさんによるものをはじめ、いろんな(文科省のものも含めて。文科省はいくらか詳細に見ることのできるマップ公開し始めましたね)マップやデータが公表され始めてきて、政府やマスコミももう無視できない勢いになってきていると思います。除染の問題は、難しいですね。私のブログにも少し書きましたが、被ばくは多少は甘受する覚悟で、どうしてもここにすみたい、という方々の意向を尊重しなければならない気もしますし、(児玉先生はそちらの方向で頑張ってらっしゃると思います)しかし他方、除染は、やはり無理、とも思いますし。
柏で60μSv/h近い線量が確認されたというニュースを聞きました。驚きです。(原因はなんであれ、)非常に局所的な高線量地点というのは、やはりあるんですね。大雑把な観測では見逃してしまうのでしょう。
詳細マップ見てます。群馬長野の県境が興味深いです。現在分析中ですが、だいたい私の観測と一致しているな、という感想です。
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