2011年10月29日土曜日

信州のセシウム汚染の度合い:佐久平測定の旅(平尾富士)

実はこの測定はふた月ほど前にやった。ちょうど秋の気配が出始めていたころで、平尾富士の森には様々なキノコが現れ始めていた。中でもツチグリは特に目を引いた。

平尾富士は佐久山地の1つで、佐久平の東の縁にある低山。火山ではなく、火山の噴出物が堆積し、それが風化して形作られた山。また、この噴出物を出した火山は、八ヶ岳や浅間山ではなく、もっと古い時代のもの。どちらかというと荒船山や戸隠などの時代。

この綺麗な山裾を醜く削って作ったのが「パラダスキー場」。佐久平に雪はほとんど降らないのに無理に作った感じ。高速道路のPAともリンクしてあって「便利」だったはずなんだろうが、人工雪のスキー場だけでは当然もうからないらしく、カブトムシドームなる余興などが、なぜか「スキー場の中」に作られている。

今回の測定地点は、このカブトムシドーム裏の森の中。森自体は素晴らしく、様々なキノコで彩られ、秋の気配を楽しむことができた。それだけに、スキー場によって失われた自然が残念だ。

結局、自然の本当の良さがわからない人間たちが、開発偏重の政策を敷き、それに人々も乗っかって、今の日本を作ってしまった。福島原発の事故は、そういう「間違い」に対する警鐘だと受け止めたい。失った自然ほど、かけがいのないものはない。(「原発さえなければ....」と後悔する福島の人たちのコメントを聞いていると、まさにそう感じる。)

佐久山地は群馬県と接していて、その境のセシウム汚染は否定できないほど明らかだった。したがって、佐久山地のもっとも西に位置する平尾富士の森が汚染されているかどうかは、佐久平の運命を握っているといっても大げさではない。そこにセシウムが濃くあるなら、当然佐久の水田、畑にはセシウムが濃く降り注いでいるはずだ。(現に、佐久市の下水処理汚泥やほうれん草などで、若干のセシウム汚染が報道されている。薄いものが集まったのか、それとも厚く降り注いだもののほんの一部なのか?は大きな違いだ。)

測定を始めると、すぐに答えが出た。線量が上がらない。物見岩や下仁田、あるいは内山峠で測ったときとは雲泥の差だった。結局平均値をとっても、結果は予想通りで、RAMIによる平均値は0.10μSv/hだった。佐久平の汚染は軽微だろうと思われる。

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