梅雨空のようなどんよりした曇り空が広がっているくせに、やたらと暑い日が続いていた。夕方から夜になると激しい雷雨になって、雲の切れ目に光る月も水蒸気のせいでクッキリ光らない。そんなこんなで、なかなか天体観測ができない日が続くうちに、アークトゥルスが西の空に随分傾くようになってしまい、土星の観測も難しくなってしまった。一つだけここに記録できることがあるとすれば、昨晩8−9時頃の西の空に見えた、ものすごく大きくて、明るかった火球(流れ星)だろう。上から下に向かって墜落するような形で流れたのを観測できた。明るい月にも負けず、隕石が燃え尽きて、散り散りになる感じを見ることができた。(アークトゥルスのすぐ南だったので、ペルセウス流星雨とは関係ないと思う。)
と思ったら、今日は久しぶりに青空が広がった。今年最高の暑い夏の日となる。
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浅間山と平尾富士(臼田より望む)。猛暑なり。 |
そんな猛暑の中、久しぶりの化石採集に行く。といっても今回は採集が非常に難しい、二畳紀のフズリナ。今までの採集で、日本でも、英国でも、フズリナだけは採集できた試しがない。秋芳洞の土産物屋で購入したのが、唯一の標本。果たして、今回は採集できるか?
場所は抜井川の傍の、一ノ渕というところ。昔の佐久町の海瀬というところにある。この辺は海から最も離れた場所なのだが、小海とか海ノ口とか、「海」のついた地名がやたらと多い。フォッサマグナの海の記憶が残っていたのか、それともその後にできた大きな湖のことなのか?不思議に思う。
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抜井川と一ノ渕。川の右側、小山になっているところが採集地。 |
抜井川は山中地溝帯から流れてくる川で、流域はジュラ紀の岩盤を削って流れる。ここは、かつてフォッサマグナの海に浮かんでいた島だったはずだが、今回狙うのは更に昔の、この一帯が熱帯の珊瑚礁だったころの二畳紀の頃。たぶん、今のハワイのように、太平洋のど真ん中にあった珊瑚礁の島だったんだろう。当時の珊瑚礁は石灰岩となって残っているが、一ノ渕では、ジュラ紀の黒い地層の中に取り込まれるように残っている。プレートに乗って移動して、大陸に近づいたせいで、川から流れ込む泥などに珊瑚礁が埋まっていってしまったんだろうか?このへんは、専門家に聞いた方がいいだろう。
さて、現地はというと、暑さのため、腕から滝のように汗が噴き出す。蚊は居ないが、薮がひどい。この露頭でひときわ目立つのが、石灰岩の巨岩。これが、二畳紀の珊瑚礁の名残だ。
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石灰岩の露頭。その下の茶色の層が、秩父古生層の頁岩。 |
石灰岩は固いので割出すのは、ほぼ不可能。
転石を丁寧に見ていくしかない。
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