2011年8月30日火曜日

信州のセシウム汚染の度合い:佐久山地の測定(内山牧場と物見岩)

内山牧場に至る。霧が濃くなって来た。牧場を見下ろす岩の丘、物見岩に登って観測することにする。ここが本日の「メインイベント」的目的地となる。
物見岩に至る山道
日暮れも近くなってきたし、こんなところで遭難するのも割にあわないので、急いで登る。5分程度で尾根道の開けたところまで来ることが出来た。物見岩というのは、この付近の山々と同じで、溶岩堆積物の浸食されてできた丘だ。頂上は溶岩のごつごつした岩が露出し、見晴らしがよい。それが山の名前ともなっている。隣にある山は溶岩の露出が少ない為に、物見山と呼ばれている。今回は時間がないので、物見岩だけで測定を行った。物見岩山頂は1315mだが、測定地点は分かれ尾根のピークなので1280mの辺りとなる。ほぼ離山と同じ標高だ。

測定場所は、溶岩の峰から少し森の中に入ったところ。岩石の上に積もったセシウム137はすでに雨で流されてしまっただろうから、なるべく草地の上で測定したかったのだ。(雲場池での測定失敗の記を参照

測定地点の様子
尾根より測定地点を望む
測定結果は、この日最高の0.26μSv/hが出た。やはり、佐久山地のセシウム137による汚染は、早川地図の通り、現実のものだったようだ。非常に残念だ。


次に、信州側に戻り、汚染がどの程度改善するか確認する。今までの経験だと0.15μSv/hレベルまで落ちるはず。物見岩を急いで下山し、内山牧場に戻る。ちなみに、ここの標高はちょうど1200m程度で、離山と同じ高さにある。


荒船妙義国定公園(内山牧場)の標のところで測定。
国定公園の標のところで測定すると、0.17μSv/hだった。予想通りだ。やはり、セシウム137は斜面の裏側には溜まりにくい性質があるのだろうか?

さらに標高を下げて測定してみた。内山牧場から、スエトシ牧場へと下り、さらに下って、標高700mの所で車を停める。そこで付近の林の中に入って測定した。その結果は、0.09μSv/h。物見岩の1/3、そして内山牧場の半分まで線量が下がった。補正を掛ければこれは、ほとんど自然放射線量の水準まで落ちているといえるだろう。

しかし、これはセシウム137がこの地に来なかったのではなく、通り過ぎたということなんだろう。雨が降らなかったということなんだろう。汚染のある場所からわずか数キロしか離れていないのに、セシウム137が県境周辺に閉じ込められたなんてありえないからだ。つまり、信州に(少なくとも北佐久地方)にセシウム137もヨウ素131も、確実にやってきて、それは群馬の県境周辺に降り積もった。幸いなことに、全国的に見ても降水量の少ない佐久地方では、その日雨は降らず通り過ぎていってしまったのだろう。

南佐久の汚染はほとんどなかったが、それは放射性プルームが来ていないことに対する必要条件であって、十分条件とはなっていない。必要十分を示すのは困難だが、少なくとも南佐久と群馬/秩父を境にする山岳地帯の汚染を調査すれば、その答えは得られるだろう。

また、佐久地方を抜けたプルームは、上小地域そして諏訪地方へと流れていったはずだ。蓼科も可能性がある。果たして、これらの地域にセシウム137は残っているのだろうか?次の課題だ。

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