2012年1月7日土曜日

福島で、空中降下物の放射能レベルが上がったこと

空から降ってくるのは雪とか雨だけかと思ったら、花粉や黄砂などの微粒子とか、さらには最近では放射性セシウムやらと、ろくでもないものも降ってくるようになってしまった。春には放射性セシウム入り杉花粉が飛ぶとか飛ばないとか、ちょっとした騒ぎになるだろう。

とはいえ、今はお正月。真冬のこの時期にまだ花粉は早い。殊に、福島では春はまだ先のことだ。にも関わらず、大気からの降下物に含まれる放射性セシウムの量が、1月に入って急激に増加しているというデータが出た。福島県庁が発表している資料を見ると、12月までのレベルと比べ10倍以上あり、昨年の5、6月と同じ程度だというから大変だ。

数日前からネットでこの話題が沸騰し、「また放射能物質が漏れたのか」とか、「4号機が爆発した?」とか、「北朝鮮の原子炉がやばい」とか、色々な理由を想像して、慌てた人々も多々いたようだ。

最初に抑えるべきポイントは、ヨウ素131の量だ。もし、原子炉からの「フレッシュな」放射能漏れだとしたら、またもやこの恐ろしい放射能物質が出てくるはずだからだ。どうも近隣の自治体の中には、今回の異常上昇を受けてヨウ素剤を村民に緊急配布したところもあるらしい。しかし、福島県の測定が信じられない、という場合はともかくとして、今回のデータではヨウ素131はNDになっている。つまり、原子炉からの漏れではないと思われる。

とすると、3月以降に降ったセシウムが、再び舞い上がって降り注いでいる可能性の方が高い。今や周知のことだが、セシウム137の半減期は30年だ。1年弱しか経過していない今、相当量が福島の大地に(福島だけじゃないが)残っている。今回の放射性セシウムの大気降下物中における量が急増したのは、なにかの理由で地上のセシウムが大気中に再循環したのが原因だろう。

お正月になって急に増えること...焚き火?どんど焼きとか、この季節の行事には火を燃やすものが多い。また、年末年始になるとゴミ収集が途絶えるから、庭で焚き火をやる人が増えるのも確か。別の原因として、福島で雪か雨でも降ったかなと思ったが、どうやら快晴だったらしく、この方面は考察から除外してよいだろう。もう一つは、強風による砂の巻き上げ。これはKEKの野尻先生の説だ。最近、かなり強い風が福島では吹いたという。

とにかく、空気中のセシウム濃度が上がったのは確かだから、福島周辺の人々は吸い込まないように注意した方がよいだろう。ちなみに、東京のデータを見てみたが、福島のような異常は見られなかった。福島周辺だけの局地的な現象だと思いたいが、果たしてどうか?

ちなみに、マスメディアはこの異常上昇についてまったく報道していない。福島県庁も、データをポンとネットに公開しているだけで、なんの警告も解釈も発表していない。素人の対応と非難されても仕方ないだろう。測定してネットにデータをアップしている本人が、その意味がまったくわからずにやっているのでは?福島県は、科学者を(少なくとも一人)臨時雇いして、測定データの活用についてアドバイスを求めていくべきだろう。

更に言うと、文科省のホームページは多分お正月休みで更新はお休み。(東電は、文科省にリンクを貼って横流し。自分のデータは公開せず?)ハッキリいって「役立たず」。(過去のデータは参考になったので、そこは評価しておこう。)

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