その際、スペクトルに含まれていると思われる「バックグランドの寄与」を抜くために、佐久の松葉10gをLB2045で測定した結果を利用した。まずは、その結果の写真を下に貼っておく。試料の量が少ないので、これはほとんどバックグランドの測定をしているものとみてよいだろう。実際、出て来たセシウムの放射能値も一桁になっている。カリウム40のピークも見られない。
松葉(佐久平)を10g測定した結果。 |
赤色:市原市、緑色:船橋市、水色:佐久平 横軸はエネルギーのチャンネル番号、縦軸はCPS。 |
まず、ピークの位置がずれているか確認する。
市原 船橋
Cs-134(605) 20 21
Cs-137(660) 27 27,28,29
Cs-134(796) 44 44
だいたい同じ場所にピークが出ていることがわかる。理想的には、ピークの位置は18, 25, 42に出るはずだから、どこもおおよそ2チャンネル分高めにずれている。これは16keVに相当する。
ベクミルの設定のROIに相当するのが、チャンネル1からチャンネル50まで(450keV-850keV)。796keVの光電ピークはチャンネル35付近で切れていて、そこより下の領域には、このガンマ線のコンプトン散乱の「丘」が広がっているはず。605keVと660keVの2瘤ピークの麓ががっしりしているように見えるのは、コンプトンの山が混じっているからだろう。同じように、605と660のコンプトン散乱の丘も低チャンネルのところに広がっているはずで、そのコンプトンエッジらしきものが、チャンネル7付近から下に見える。(そして、チャンネル1を越えて、負のチャンネルの領域まで広がっているように見える。)ただし、解像度が悪いせいで、コンプトンエッジがはっきり見えない。コンプトンの山の切れ目はよくわからないので、ROIを450keVで切っていいのかどうかは、はっきりしない。たぶん、光電ピークの値から、コンプトン散乱へ逃げてしまう光子の数が推測できて、その変換係数みたいなものが、LB2045には入っているのかもしれない。この点は確認したほうがいいだろう。
さて、佐久平の土壌データを、千葉の2つのデータと比べてみる。3つのピークははっきりしないが、なんとなく盛り上がっている位置が、セシウム三兄弟の場所に近いような気もしないでもない。ピークらしきものも見えるような気がするが、その位置はちょっとずれている感じがする。結論としては、LB2045で測れる限界以下だが、ゲルマニウムで測定したらピークが見えてくるかもしれない。佐久市の測定はゲルマでやったということだから、ピークを見て判断しているはずだ。軽微ではあるが、やはり佐久平の土壌にもセシウムはわずかながら存在していると考えるべきだろう。(ゲルマでもNDとなっている場所も3カ所ほどあるので、数ベクレル/kg程度から40ベクレル/kg程度なのだろう。ただし、この汚染が福島原発事故によるものなのか、それともかつての原爆/水爆実験によるものなのか、それともチェルノブイリによるものなのかはわからない。それを確認するには、西日本や北海道各地の土壌のLB2045による測定データが必要だ。)
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