少しいじってみると、色々問題が判明した。一応60秒平均モードに変更することは可能だが、スイッチを切る度にリフレッシュして30秒モードに戻してしまうので、かなり不便。
また、30秒(あるいは60秒)間隔で平均を取ったあとは、前のデータを捨ててしまうので、自分で記録をとって最後に手で全平均値を計算する必要がある点。これはかなり面倒くさい。PCに転送する機能も当然ないので、データの打ち込み、計算式の設定などをエクセルなどでその都度やる必要がある。
最後に、放射線現象というのはランダムに近い現象なので、30(60)秒平均をとったとしても、その値はばらつきが結構大きい。例えば、碓氷峠で記録を取ったときは、0.39μSv/hという値が出たり、0.12μSv/hという値が出たりした。(下図参照。)このような性質があることを考慮すると、10分以上の測定を何度も行い、全体の平均値をとって測定値としてやる必要がある。しかし、このやり方は時間がとてもかかるのが難点。
碓氷峠の見晴台におけるJB4020の測定例。結果は補正前の生データ。 30秒毎に平均値を表示。横軸は観測番号。縦軸は線量(μSv/h)。 トータルで10分の計測を行い、この時間におけるの全平均値は 0.26μSv/h(生データ)。CsIシンチレーションカウンターを用いて 補正した値は、約0.22μSv/h。 |
JB4020の機械としての特性は、ちょっと数値が高めに出る傾向があること。これは、群馬大の早川教授の測定データを使って校正することにした。彼は高価なCsIシンチレーションカウンター(A2700)を使って測定しているので、そのデータの信頼度はガイガーカウンターよりはかなり高いだろう。校正地点は(1)峠町(碓氷峠)、(2)ショーの教会(旧軽銀座、中山道の旧軽井沢宿の入口付近)、(3)軽井沢町役場、(4)軽井沢病院の4つ。ちょっと少ないかもしれないが、今回は時間切れとなってしまった。近いうちに、雲場池やショッピングモールの値も取り込みたいと思っている。
JB4020の値とA2700の値を比較したのが下の図。
校正曲線:JB4020をクリアパルスA2700で補正する。 |
JB4020(生データ) | JB4020(較正後) |
---|---|
0.11(病院) | 0.08 |
0.13(町役場) | 0.11 |
0.16(ショー教会) | 0.14 |
0.26 (碓井峠) | 0.22 |
セシウムの半減期は長いので、早川先生の測定した6月30日とあまり変わらないとは思うが、それでも数パーセントの減少はあるはずで、そこの部分の考慮がこの校正には入ってない。しかし、軽井沢町の病院における直近の測定(7/22)があったので、それと比べてみると補正後の値とよい一致を示している。上の測定補正値はそれほど悪くないだろう。
最後に、早川先生の測定データの無い、自分の別荘(離山の東の山間部)における値を見てみる。一番高く出たのは、花壇横の落葉の上で、生データが0.17に対し、補正後は0.15。また、車置き場の砂利の上では、生データ0.15に対し、補正値は0.14となった。結構高い....
ちなみに、中山道を下って、佐久平まで行き、とある畑の土の上で測定したところ、生データ0.1に対し、補正値0.06となった。単位はいずれもμSv/h。軽井沢の東部(離山の東)と比べるとかなり低く、ほとんどバックグランドレベルといえるだろう。
言い換えれば、軽井沢の汚染は付近に比べ、抜きん出てひどいらしい、という予想だ。この値が、東京のホットスポットに匹敵する程度なのかどうかは、さらなる調査が必要だと思われる。小諸や上田、長野の測定も必要だ。(特に菅平と鹿教湯。)
噂通り、碓氷峠や離山の東はやっぱり汚染度が高かった。(とはいえ、那須に比べれば圧倒的に低いが。)これはショックだ。この続きは改めてまた。
(追記:JB4020を上手に使いこなすと、意外に高い精度で測定することができる。その方法についてはこちらとこちら。ばらつきについての考察はこちら。ベータ線を遮蔽してセシウムからのγ線をより正確に測ることについてはこちら。)
0 件のコメント:
コメントを投稿