2011年6月23日木曜日

メルトスルーを巡る見解の相違:またもや

福島原発の事故はすでにメルトスルーに達している、というのは周知のことだが、ここにきて再び見解の相違が生じている。東電(政府を含む)と専門家の間の意見の相違だ。

東電のメルトスルーは、どろどろに溶けた核燃料が格納容器で止まっているとするもの。一方、他の専門家たちは、格納容器どころか、コンクリートの土台も突き破って地下水まで燃料棒は溶け落ちてしまった可能性あり、という解釈。後者である証拠として、発電所敷地外からプルトニウムが検出されていることを挙げていた。(このプルトニウム検出も、東電ではなく、大学の研究者による調査で判明したもの。)

地下水脈に落ち込むと最初に予言したのは、京大原子炉の小出先生だ。そうなるとどうなるかという議論は今まであまりなかったが、ここに来て出て来たのが「冷却のための放水は無駄、というよりむしろ害悪」という議論。

現在、一生懸命(命がけで)水をかけているのは、崩壊熱で溶ける可能性のある燃料棒を冷やし、メルトダウンやメルトスルーを避けるためだが、その燃料棒がすでに地下水脈に落ちているならば、もう原子炉はもぬけのからになっている。(立てこもり犯人が既に脱出し、誰もいなくなった銀行に一斉射撃を行い続ける、間抜けな警部みたいなものだ。)この観点からすると、放水や冷却循環システムの構築は無意味な作業だ、ということになる。

放水作業は「無駄」であるだけでなく、「害悪」だというのは、汚染水をただ増やしてしまうからだ。もう燃料棒は地下深くまで落ちてしまっているから、人間の手の届かないところに行ってしまった。だから、放水の水は何に向かってかけているのかさっぱり意味不明。なにもないところに、大量の水を流し続け、それが今までに放出された放射性物質を溶かし込んでどんどん汚染されていけば、汚染水をただ増やすだけの間抜けなことになる。そして、その汚染水はタンクに入りきらないから、といって太平洋に捨てることとなろう。地下水脈へのメルトスルーを確認できれば、放水は今すぐにでもやめることができ、これ以上汚染水を増やすことはなくなるだろう。

しかし、地下水からの汚染は長期間に渡って続くことになる。これが本当なら、福島周辺の水環境、海洋環境は100年では済まない長い期間に渡って汚染され続けることとなるだろう。

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