2011年9月20日火曜日

弘前城の近くにあったモニタリングポスト

先日、弘前城を訪ねた際、モニタリングポストを発見した。その日の値はおおよそ0.04μSv/h(40nGy/h)と表示されていた。
弘前城の近くの「中南地域県民局」の敷地にあった
モニタリングポスト。
建物の雰囲気からして、官公庁の所管だろうと思い、東京に戻ってから調べてみると、「中南地域県民局」とかいう青森県庁の所轄機関であることがわかった。そのホームページを覗いてみたが、特にこのモニタリングポストのことは書いてない。

このポストがなにかおかしいなと思ったのは、その電光表示版。東京のモニタリングポストにはないと思う。つまり、青森県の方が、これに関しては「お金がある」ということだ。弘前の町を歩くとわかるのだが、あちらこちらに売り地、売り物件の看板が並び、潰れた商店も目立つ。どう見ても、街全体が東京より景気がいいようには見えない。たぶん、青森県の税金で作った機械ではないんだろう。

また、東京都の説明では、モニタリングポストは、「高所に置かれないと周りの建物に遮蔽されてしまい、意味がない」というのだが、ここは「かなり遮蔽された環境」にポストは設置されているように見える。おそらく、こういう説明は役人による「作文」に過ぎず、単に設置スペースがあったりなかったりなど、建築スペースの都合だけで決まっているのであろう。

東京と青森でルールが異なるし、資金の状況も違うようなので、いったい全体誰がどういうことで、弘前城の目と鼻の先に、こんなものを置こうと思ったのか、疑問に感じた。同僚たちに話してみると、「そりゃー君、青森には六ヶ所村があるからね」と即答が得られた。

つまり、多くの青森県民が行き交うお城の前で、六ヶ所村から漏れる可能性のある放射線や放射能物質をモニターし続けて来た、ということだ。(で、なにも起きてませんよ、といいたいのであろう。よく工事現場に騒音レベルの測定モニターが置いてあるが、あれと似た感じか。)東京都の場合には、近くに原子力施設がないから、「なにも起きてませんよ」と主張する対象がない訳で、電光表示は不必要だったのだろうか。

そこで、モニタリングポストにあった説明板を拡大してみた。
モニタリングポストの解説
連絡先がはっきりしないが、なんとなく「日本原燃株式会社」と書いてあるように見える。そして、連絡先は、案の定、六ヶ所村であった...

調べてみるとあった。日本原燃(JNFL)という株式会社だが、どうみても政府系機関だ。税金を青森や六ヶ所にバラまく出先機関も兼ねているのだろう。株式会社の機械が、青森県庁の敷地内にあるのは、なんか不自然だ。

JNFLのホームページには、青森各地に設置されたモニタリングポストの値がリアルタイムに表示されていた。(操作されてなければ、かなり低い値に見える。)なぜか、弘前はリストに入ってない。今日の値を見ると、六ヶ所村より青森の方が空間線量が高い。本当?!
青森の空間放射線量(ここより引用
一日中測定し続けて、結局は平均値を計算している(揺らぎの表示は一応あるが)。これを見て勉強になる点は、放射線現象はそもそも揺らぎが大きい、という点だろう。(国民生活センターの人は、これを知っておいた方がよいだろう。)

自然放射線量の値を調べると、だいたい0.05μSv/h程度。一応、モニターの値と一致している。
弘前はだいたい0.03から0.05μSv/h程度の自然放射線があるらしい。
モニタリングポストの発見は、「青森県って、原子力と共に歩んで来たんだ」と感じさせてくれた。この林檎やにんにくの美味しい、美しい北の大地が福島のようにならないように「100%」保証するためには、大江氏の言うように、原発を捨てる以外にない。この原発という「機械」だけは、「失敗から学ぶ」ことが許されない。そして、失敗するが人間である(Errare humanum est)、と古代ローマ人ですら、すでに気づいている。

0 件のコメント: