2011年8月21日日曜日

放射性物質の健康への影響:プルームの正体

さて、前回の調査をもとに、原子炉のベントの際に環境中に放出された放射性プルームの性質について考察してみたい。

メルトダウンの温度は、大雑把にいって1000度。したがって、ヨウ素131も、セシウム137も、ベントの当初は気体になっていたはず。原子炉を飛び出した放射性プルームは高温だったため、ヨウ素とセシウムの混合ガス(煙=plume,プルーム)となっていただろう。

プルームの外側は外気と接触して次第に冷えてくるだろうから、次第にセシウムは液化していくだろう。液滴のまま飛び散るもの、あるいは空気中の水分と反応して水酸化セシウムと化し、固体粒子として飛ぶもの、さらには水に融解して水滴となった水酸化セシウムもあるだろう。一方、ヨウ素はガスのまま飛んでいく。ヨウ素の方が質量は軽い上に、気体の状態を保つから、その拡散範囲は広いだろう。が、それは濃度が薄まる傾向が高いことも意味する。いっぽう、セシウムの拡散距離は若干短めになるだろうが、濃縮した可能性がある。

大きなガスの塊のプルームは、その内部まで冷えるまでには時間がかかるだろうが、ベントされた放射性物質で火傷したという話は聞かないから、結構すぐに冷えてしまったと思われる。福島から200キロ離れた地域に到達したころには、セシウムは固体の化合物やその水溶物となっていたと思われる。目に見えない程度の粒子だったのだろうか?そんな粒子のかたまりが、きっとセシウムクラウド(=セシウム雲)の正体だろう。

下水汚泥や水道水の汚染、あるいは茶葉やほうれん草の汚染状態の事実から、セシウムクラウドは信州、静岡の東半分、岩手の平泉付近までは確実に飛んできた。(平泉に関しては、まだもめているのだろうか?)

そして、雨雲と接触したとき、放射性物質の多くは雨と共に地表へと落ち、その土地を汚染した。関東の場合、3/15と3/21の2日、放射性プルームがやってきた。最初の方は、プルームが通過しただけ、二番目の方は降雨とともに地表に降り落ちた。

まずは、最初の3/15の場合について見てみたい。この日、戸外にいたりするなどして、高濃度のプルームを吸い込んだ人が受ける健康被害はどう推定されるのだろうか?ヨウ素とセシウムに分けて分析したい。

0 件のコメント: