2011年11月11日金曜日

長野県の汚染地図:甲信越、北陸や中部地方(静岡、岐阜)も。

ついに出た。長野県の汚染地図予想通りだったのは、実測していた軽井沢佐久山地野辺山佐久平蓼科、そして小諸、高峰高原。つまり、JB4020の測定は結構信頼できるということだ。JB4020やRD1503を持っている人たちは、どんどんRAMIを使って身の回りを測定すべき。自分の身の回りの、より詳細な汚染地図を作ることは可能だろう。
文部省発表の、空間線量の測定結果。
自然放射線量の影響は考慮していないと思われるので、
西の地域の値を読み取る時は注意が必要。
それにしても、関東では群馬と茨城の汚染がひどい。
また栃木と千葉の北半分や埼玉の西半分にも汚染があるのがわかる。

驚いたのは、長野や上田など千曲川に沿っての汚染があまりなかったこと。NHKで放送された国立環境研究所のシミュレーションは完璧ではなかったということだろう。逆に、南信州や松本、特に安曇野の空間線量が高くて驚いたが、実はこの辺りは自然放射線量も高い場所なので、福島から飛散したセシウム137等の影響とは言い切れない。同じように、静岡や岐阜、さらには石川や富山にも、空間線量だけみるとホットスポットのような場所があるが、放射性セシウムが起源かどうか確認してからじゃないと、結論は出せないだろう。

明らかなのは、軽井沢の汚染。ここはもともと日本で最低レベルの自然放射線量だから、ここの空間線量が高いのはすべて福島の事故が原因。(佐久山地の場合は、古い地層もあるので、慎重に考えるべきかもしれないが、内山峠の近辺は自然放射線量はもともと低いので、福島原発の事故が原因で線量が上がっている可能性が高いと思う。)なにより、セシウム134、137の地表面への沈着データを見ると、軽井沢や佐久山地のところまで汚染が広がっている。逆に松本や南信州、さらにもっと西の地域を見ると、空間線量は高いところがあっても、その地域の放射性セシウム沈着量はほぼ無しとなっている。セシウムの雨がひどく降ったのはやはり長野と群馬の県境、特に碓氷峠から南に伸びるラインだったのだろう。

一つ気になるのが、佐久穂町の群馬県境(たぶんここは十国峠だと思う)セシウム137沈着量が軽井沢よりずっと高いことだ。ここは石堂がある場所....やはりだめだったか、とショックを受けた。東電、政府(自民も含む)は許せない!

(追記:文科省の報告書の後ろのページに、測定法についての詳しい説明が今回はついていた。どうも、航空機による測定は測定時間が短いために困難がつきまとうようで、いろいろ計測値に手を入れて、処理し直しているようだ。したがって、今回汚染がないと判別された地域でも、それが真実かどうかは100%の確証はない、と思った方がいいだろう。やっぱり、測定は現地に出向いて、時間をかけて測定しないといけないんだろう。そういう意味でも、JB4020の活躍場所はまだまだ広がっていると思われる。)

追記:次の場所で、土壌のセシウム汚染レベルを、ガンマ線スペクトロメータ(LB2045)で測定した:長野市城山公園小諸市高峰高原東御市金原ダム手前上田市国道18号バイパス下などなど。

7 件のコメント:

クラフト さんのコメント...

長野県汚染地図を見ました。先生と同じく、軽井沢北部から北相木村までは、放射能プルームが一部県境尾根を越えたのだと考えました。

文科省による岩手、長野、山梨、岐阜及び富山県の航空機モニタリングの測定結果別紙10の、地表面へのセシウム134、137の沈着量合計の地図における青いところは実際にはどこら辺だろうか?
 国土地理院2万5000分の1地形図、文科省航空機モニタリング汚染地図群馬県版と突合して考えてみました。

1 佐久穂町と群馬県南牧村(長野県でない)との境付近:国道299号線辺りであり、十石峠とそこから古谷ダムにかけての周辺と思われる。
→ セシウム134,137の土壌汚染は、30~60kBq/kgにとどまっている。この十石峠の群馬県側が60~100Bq/kgとなっているので、長野県側はそれよりも軽微である。
→この付近の古谷ダムの側の落ち葉だまりの計測値地上高0.05mで0.1975μSv/h、1mで0.1283μSv/h (HP「測ってガイガー」、HoribaPA1000 Rad )と整合的。

2 佐久穂町と佐久市の境の辺り(スポット的に濃い青色となっている):余地峠の北の標高1337.4m三角点のあたりと思われる。
 →余地峠の西側にある余地ダムの堤防上での計測値地上高0.05mで0.225μSv/h、1mで0.1045μSv/h(HP「測ってガイガー」、HoribaPA1000 Rad )と整合的。
 →温泉「峠の湯」

3 佐久市と群馬県下仁田町の境の辺り(スポット的に小さく濃い青色となっている):内山峠辺りと思われる。
 →内山牧場キャンプ場での計測値1mで0.3065μSv/h(HP「測ってガイガー」、HoribaPA1000 Rad )と整合的。
 →ここのわずか北が、1320Bq/kgが検知されたキノコが採れた佐久市志賀と思われる。

4 軽井沢北部:鼻曲山頂上~中腹。


 空中線量と地表沈着量を合わせて、かなり正確に読めると思いましたが、ホットスポットなど、航空機計測には限界があることもまた明白になりました。先生のご意見どおり、我々国民は、ポケット型カウンターはあてにならないとの政府の言葉を聞かされながら、一家に一台ガイガーカウンターという感じで、アリのように地表を着々と計測していき、それを共有していくことになるのだと思います。

kuzzila さんのコメント...

コメントありがとうございます。文科省の拡大型詳細マップによる公開が待ち遠しいですね。私も複数の地図を見比べておりますが、なかなか大変な作業です。

どうも、今回の地図では、自然放射線量はさっ引いてあるようなことが説明にありましたが、だとすると結構、西までセシウムが飛んでいたことになります。本当なのか、嘘なのか?まだ確信が持てません。やはり、地道な測定も必要ですね。

JUSTICE MT さんのコメント...

kuzzila先生
先生の汚染測定のBLOG興味深く読ませていただいておりました。さすが海外でも通用する研究者のBLOGとあって、実に論理だって実測値を分析されておられるのに感心しております。私は、先生が実測された地点(内山、物見山)に近い荒船・草笛別荘地の一角に山小屋を持っておりますが、群馬県までの文科省の汚染地図が発表される9月の段階までこの地区の汚染については、楽観視が強かったと思います。

しかし、9月以降は、汚染地図を見て、これは、汚染していると思い慌てて測定機を購入し計ったところ、リビング テーブル上:0.07μSv/h;寝室 窓際:0.11μSv/h
雨どいの下:0.67μSv/h
※)5回測定平均値の小数点以下3位を四捨五入
(http://www.city.saku.nagano.jp/cms/html/entry/6169/465.html)参照
でした。
3.11以降も度々孫たちも家族ともども遊びに来ており、現在は、採取禁止になっている山野草類も採って食べたりしておりました。
こうした状況を踏まえ、荒船・草笛自治会代表幹事に相談したりし、先生の実測レポートなどを関係者に報告等し、佐久市当局に具体的対策立案のため詳細な汚染地図の作成を要請しておりますがまだ目途が立っておりません。先生も軽井沢地区に別荘をお持ちなのではと勝手に想像いたしておりますが、何か行政とのタイアップなどは、計られておりますか? 仲間のものの中には、先生に是非一度お目にかかり、いろいろ情報交換をしてみてはとの意見が出ております。

仲間の一人は、横浜に住む東北大学工学部の先生(現在、名誉教授)を最近までしておられました。私も京都の立命館で国際関係論を2006年3月まで教えておりました。
年末でお忙しいとは思いますが、是非ご検討いただければと思います。OKであれば、東京か軽井沢での面談設営を計画いたします。
以上

kuzzila さんのコメント...

コメントありがとうございました。 軽井沢町や佐久市の行政に携わる人たちが、どれだけ知識不足のまま、この問題に直面していることでしょう。気が遠くなるような気分になるときもありますが、軽井沢町は少しずつ動き出したようにも思えます。佐久市はこれからでしょう。千葉の柏市でも最初は否定から入ったようです。平泉や一関はまだ否定しているのかもしれません。 先生方のような人々が増えてくることを、願っておりました。私の物理学者としての知識や経験が役に立つようでしたら、是非協力したいと思います。

onomatopoeia311 さんのコメント...

はじめて投稿いたします。
松本市の汚染状況について疑問があり、
ご意見をうかがいたいと考えた次第です。

松本市の土壌汚染は、
放射能防御プロジェクトの木下黄太さんによる北信(長野市、諏訪市など)のデータと、
松本市の公表している市内各公立小学校の敷地のデータからしか推測できませんが、
検出限界値10Bq/kgで、ほぼNDと出ています。
(信大長野キャンパスでは、セシウムが916Bq/kg出たようですが)

しかし、自分の線量計(RADEX RD1706)で市内の空間線量を測定してみますと、
常時0.10-0.20μSv/hは検出されます。
東京世田谷西側の私の住まいより、高い数値です。

市が測定しているシンチ式ですと、0.06-0.08μSv/hを推移しているようですが、
GM管式の線量計ですと、他の方も、私と変わらぬ数値を検出しておられます。

市の空間線量についての公表数値を真偽はともかく、
少なくとも、土壌汚染が見られないのに、
空間線量がこれだけ高い。
…ということの意味するところがわからないでいます。

当方、小学生以下の子どもがおり、松本市への転居を考えております。

土壌汚染がなかったとしても、空間線量が自宅より高い場所への転居は抵抗があります。
否、空間線量より、土壌汚染の数値を優先して考慮すべきなのか?

唐突で申し訳ありませんが、お考えをお聞かせいただきたく存じます。
よろしくお願いいたします。
長文を失礼いたしました。

kuzzila さんのコメント...

onomatopoeia311 さんへ。

このコメント欄で答えるには、すこしスペースが狭すぎるので、後でブログ本文のところで取り上げてみようと思います。なかなか、よい質問がたくさん含まれているように思いますので、すこし丁寧に返事しようと思います。

松本の土は近々測ってみようと思います。(松本といってもかなり広いですが...)この場所は、フォッサマグナの西縁にあたるので古い地層もあります。たとえば、北アルプスは関西と同じ古い大地に乗っています。こういう場所は、自然放射線のレベルが大昔から高いのです。ですから、松本のどこで測定したか教えていただけると助かります。梓川近くの河原や林檎畑のあたりなのか?それとも上高地に登る途中なのか?結構、空間線量の値は違ってくるだろうと想像しています。

土壌検査をスペクトロメータでやると、放射能汚染かそれとも自然放射能なのかは鮮明に分かります。セシウム137/134がどれだけあるのか目で見て分かるようになるからです。これをやるには、松本の土をベクミルに持っていく必要があります。(それをやる計画を考えている訳です。)

結論としては、松本周辺で空間線量がある程度高い場所と、土壌がセシウムにひどく汚染されている場所で、どっちがいいか?と聞かれたら、あきらかに前者だと思います。

詳細な議論は、本文にて。少々お待ちください。

onomatopoeia311 さんのコメント...

ご配慮をいただき、ありがとうございます。

私が測定した場所は、
お城を中心として半径3km程度ですので、ほぼ市内中心地です。

今後も、立ち寄らせていただきます。