2011年3月17日木曜日

福島第一原発で起きていること。

福島第一原発には6基原子炉がある。地震発生時、一号基から三号基は稼働中だったが、4号基から6号基は定期点検中で運転を停止していたという。当初、4号、5号、6号基は問題ない、と思われていた。「火のないところに煙は立たず」、と普通は思いがちだが、核燃料というのはそういうものではない、ということが今回の事故でよくわかった。

「使用済み」というのは、単に核分裂の臨界状態にもっていくのに「非効率」というだけで、核分裂しない、ということではない。燃えかすが相当量残っている。米軍の劣化ウラン弾というのは、品質が悪く(ウラン235の割合がウラン238に比べてかなり低い、という意味)核燃料としては使えいないウランを重しにして飛ばす砲弾のことだが、それが放射能をもっていることはよく知られているのを思い出した。

現在、放射能レベルがもっとも高いのが3号基と4号基と思われている。しかし、停止中の4号機が危ない状態にあるというのは何とも不思議な話に思える。ここに、この原子炉の大きな設計ミスがあると思う。炉心の「外」にある冷却プールに使用済み核燃料を保管するシステムになっているからだ。保管や冷却が失敗したときの非常事態システムはまったく存在しないことは明らか。それは、建屋が吹っ飛んだときに「大丈夫です。建屋はただの容れ物で、遮蔽能力はもともと全くないものですから」と専門家が説明していたからだ。(彼らは、原子炉の格納容器さえ安全なら、大丈夫と言いたかったわけだが、それは冷却プールの存在をまったく忘れていたのだろう。)

つまり、現在もっとも危ないのは、原子炉の中にない核燃料からでる放射線だということ。これは原子炉から漏れているのではなくて、もとから「外」にあったのである。冷却水が無くなった今、この燃料は「使用済み」とはいえども水の干上がったプールのなかから放射線をまき散らしていると思われる。

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