2011年4月10日日曜日

ガイガーカウンターで放射性鉱物を測定する

大学にあるガイガーカウンターで、放射能を持つ重晶石からの放射線を測定をしてみた。現在、世界的に、ガイガーカウンターは品切れ/在庫切れの状態で、手に入れるのが大変らしい。
放射性鉱物を測定中のガイガーカウンタ。
1マイクロシーベルト/時を示している。
このガイガーカウンターはアメリカITS社のDX-2という製品で、β線とγ線を測定できる。とはいうものの、較正をCs-137のγ線で行っているため、他の放射線に対しては結構な誤差があると思われる。仕様書によると、その精度は±20%だというから案の定である。(感度はCs-137に対して最も良く、その値は250 cpm / 0.1mR/hr (10µS/hr) 。1分間に250回以上放射線が来ると測定できなくなってしまう、という意味だろう。)

Wikipediaによると、ガイガーカウンターというものは、そもそもは放射線の個数を計測するものであって、放射線のエネルギーを測定するものではない、とある。(バーのカウンターとか、カウンターパンチとか、カウンターにはいろんな意味があるけど、ここでは「数を数える」という本来の意味。)このコメントには強く同意する。というのは、実際に売られている(安い)ガイガーカウンターを見ると、線量(つまりエネルギーに相当)で結果を表示するものが多く、前々から何か変だなと思っていたのだ。

これを可能にするには、計測個数と線量を関係づける関数を仮定して線量を推測しているはずだ。この関数は、較正実験を通して近似的に求めているようで、そのために素性のよくわかったセシウム137やコバルト60の放射線(γ)を用いて実験を行っているらしい。つまり、安いガイガーカウンターで測る線量の数値は、あまり信用できないと思った方がいいだろう。ただし、放射線の有無を確認したり、相対強度を調べたりする程度であれば、十二分に用を足すと思う。そういえば、学生のころの学部実験で、コバルト60を使って較正曲線を作ったのを思い出した。今居る大学には放射線管理区域はないので、放射性物質であるCs-137やCo-60のサンプルは保有できない。

さて、大学の鉱物標本の中にウランを含む鉱石(さすがに天然ウラン鉱石ではない!)があったので、まずはそれにガイガーカウンターを近づけてみた。結果は反応無し。

ウランの崩壊形式はα崩壊(ほぼ100%)と自発核分裂(ほぼ0%)、つまり出す放射線はα線、γ線、そして中性子線など。このガイガーではアルファ線と中性子線は検出できないから、α崩壊時に出るγ線が頼りとなる。しかし、その崩壊寿命は45億年もあるので、鉱石中のウラン原子核の数が少ないと、ほとんど崩壊する場面にはでくわさない、ということだろう。(実際、この鉱石の大きさは手のひらサイズ程度しかないし、しかもウランは不純物として入っている程度だろうし。)

ラジウムの測定へとつづく。

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