2011年4月11日月曜日

再臨界の可能性

再臨界したらしい、という噂が飛んでいる。

京大原子炉の小出さんは、その可能性が捨てきれない、という。その理由の一つは、半減期が8日と短いヨウ素131のレベルが、30日経ってもなかなか減ってこない、ということ。そして、もう一つは、首相官邸の発表した資料によると、3/25時点でCl-38(塩素38)が1号機のタービン建屋の溜まり水から大量に検出されていた点だ。(1立方センチあたり160万ベクレル。)

自然界に存在する塩素同位体は、塩素35(約76%)と塩素37(約24%)の2つ。塩素38は自然界には存在しない。この放射元素は、ベータ崩壊を通して壊変し、その半減期は37分。つまり、もし塩素38が検出されたのであれば、塩素37に中性子が大量にぶつかって吸収されている、と考えるのが自然だ。中性子がひゅんひゅん飛ぶ現象は、連鎖反応しかない。つまり、再臨界の可能性がある、というわけだ。

これを裏付けるように、4/8の1号機の放射線量が突然3倍に跳ね上がった。α崩壊やβ崩壊しているだけしているなら、放射線量は時間と共に次第に減少していくはずだ。放射線量が増えるということは、放射性物質が増えたということ、つまり新たに作り出されたということを意味する。そんなことが可能なのは、核分裂しかないが、自発核分裂は確率が低く、線量の増加には寄与しないはず。とすると、連鎖反応が再開したと考えるべきだろう。

ところが、この跳ね上がったデータは「計器の故障によるもの」と東電が発表した。また、Cl−38が観測されたというデータも「間違いではないか」という専門家も出てきた。これらが本当なら、再臨界は起きていないことになる。

この議論に決着をつけるのは、中性子線の直接測定だ。1号機の外に検出器を置くだけの話だし、東電は絶対そのデータを握っているはず。しかし、このデータはどこにも発表されてない。なにを隠しているのだろうか?巷の混乱を沈めるためにも、早く各炉ごとの中性子線測定データを公表すべきだと思う。

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