カウンターパンチと同じ意味で使うのが、カウンターアーギュメント、つまり反論。
塩素38の検出で再臨界か?と疑問を投げかけた京大の小出先生に対し、それだけで結論を出すのは時期尚早だ、とする反論が東大の早野先生から出た。
一号機の溜まり水から3/5に塩素38が検出されたとする東電の報告だが、以前議論したように、これが本当なら海水中の塩素37が中性子を捕獲した結果のはず。とすると、これは強い中性子線が原子炉付近で飛び交っている間接的な証拠となり、再臨界した、という論理展開になる。
しかし、海水が塩辛いのは、主に塩、つまり塩化ナトリウムが溶けているからで、塩素イオンがあれば、かならず同量のナトリウムイオンも溶けている。天然に存在するナトリウム同位体はナトリウム23しかない(つまり100%)。とすると、塩素38が検出されるならば、ナトリウム23も検出されるはずである。
早野先生のホームページには、そのあたりの詳細な議論が載っているが、まとめると、ナトリウム23と塩素37の中性子捕獲の確率はほぼ同じ。(以前議論したように、量子力学に従うミクロな物は、別の粒子をぶつけようと思ってもなかなかぶつからない、という不思議な性質がある。この結果、あるエネルギーで飛んでくる粒子が、標的核にぶつかるかぶつからないか、というデジタルな問いはあきらめて、ぶつかりやすいかぶつかりにくいかを確率で表す、ある意味「アナログ」で表す、ことになっている。)
また、東電は核種の同定にガンマ線を利用しているようだが、ナトリウム24と塩素38の電磁放射で出てくるガンマ線のエネルギー領域はほぼ同じなので、片方を見つければ、もう片方もかならず見つけられる。
つまり、ナトリウム24と塩素38は、二卵性双生児のようなもので、微妙に似てないけど、結構良く似た粒子だ。よって、片方しか見つからないということは、ちょっとありえない、という論理が早野先生の考え。
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