まずは分解能について調べてみる事にした。天文ガイド5月号(7ページ)によると、連星間の角度は1".68だという。これをラジアンに直すと、だいたい8×10-6。自分の持っている望遠鏡A80Mfが果たしてこの角度を上回る分解能をもっているか、を計算してみた。
光学望遠鏡の分解能を決める因子は、主に光の波動性に起因する回折現象らしい。回折現象により、星の像の拡大には限界がある。拡大すればどんなに接近する2つの点も分解できるような気がするが、光の波動性のため光線は必ずしも直進しない。ただ、回折現象が目立ってくるのは、2点間の距離が光の波長程度まで接近したときに限られる。(それ以上の距離であれば、光線は直線すると思って問題ない。)可視光の場合、300−700ナノメートル程度の波長をもつから、対物レンスによる「星の像」が数百ナノメートル程度になってくると「ぼやけ」が生じてしまう。つまり、点に見えるべきものが「円」に見えてしまう。実際望遠鏡で恒星を観測すると、はるか彼方にある恒星は天光源であるはずなのに円状に見える。星と星の距離が、この円の中に入ってしまうと、連星も一つの星に見える、というわけだ。
岩波の「科学の事典」によると、光学望遠鏡の分解能は1.22λ/Dで与えられる。λは波長、Dはレンズの口径(直径)。A80Mfの場合、D=80mmなので、分解能は0.01525λとなる。紫色付近の波長に対応する300nmの値から推測すると、A80Mfの分解能は5×10-6以上となる。これは、現在のポリマの角度と同じオーダーで、有効数字を考慮すると、ギリギリ分解できるかできないか、という値だ。
一方、シャッタースピードを4秒にしてしまったのは、あきらかに失敗だ。地球は24時間で360度回転するから、4秒間で回る角度は60"=1'.明らかにこれは、ポリマーの角度1".68を大きく上回る。ということで、少なくとも4/60=1/15秒程度にしないと、2つの星を分解できないはずだ。今回試したのは(なぜか)1/10秒。白状すると、上の議論を考える前に撮影してしまったからだ(あきらかに失敗...)。まあ、0.1と0.07の違いは「微小」ということとして、画像解析に進んでみよう。その結果が下図。
乙女座のγ星ポリマの分解 |
(追記:1/20秒でやってみたが、露光不足で微細な構造を記録しきれなかった。ということで、1/10秒程度でよかったようだ。)
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