2011年4月20日水曜日

iRobotの510 Packbot

iRobotのRoombaを買って重宝している。完璧とはいわないが、それなりに綺麗になる。犬の毛が絡まってしまって、ふた月に一度は作動不能になるが、パーツごとに分解できるので手入れしやすく、すぐに復活する。ちなみに、犬はもうRoombaに慣れた。

早野教授のtwitterを見ていて知ったのだが、福島原発の中に入ったのはiRobotの軍事用ロボットだったそうな(510 Packbot)。ちょっと驚いた。

でもiRobotができるなら、日本のロボだってできるはず。(秋葉原にはRoombaのパクリだってある。)東電がアメリカのロボを受け入れて、日本のロボを受け入れなかった事に、なにかうさん臭さを感じるのは私だけだろうか。

追記:

実は上の疑問に答える記事が東京新聞にあった。日本のロボメーカーで準備できているのは福岡のテムザック社が開発した「T-53援竜」。さらには東北大学のレスキューロボも現場投入に備えているそう。つまり、予想通り、日本にも「いいのはある」ということだ。

実際、日本ロボット学会は、政府のプロジェクトチームに加わり、こういう日本のロボを原発に向かわせようとしていたらしい。しかし、東電と政府が最終的に採用したのが、軍事用ロボ(iRobotのPackbot)だった。理由は「この非常時に、新型ロボのテストをやってる余裕はない。実績のあるものを採用したい」ということだったようだ。

「実績ないから....」ってどういうことだろう。これは未曾有の事故だ、と東電ならびに政府は主張しているのではなかったか?つまり、こんな原発事故での「実績」もってるロボットなんて世界のどこ探したってありっこない!逆に、アメリカのロボを採用してしまったことで、自前で起こした「貴重な」事故の最初のデータをアメリカに無料で上げちゃった、ということになってしまったのではないだろうか?実際、日本のロボット業界はアメリカの企業に出し抜かれたことで、かなり焦っているそうだ。(そりゃそうだろう。)これからの日本の根幹産業を潰すようなことにならなければよいが。(とにかく、政府も東電も先の見通しが甘いし、それは科学や技術に対する理解の浅さに原因があるように思える。)

さらに、東京新聞は追及する:実は1999年の東海村臨界事故を受けて、国から30億円もの大金が補助金として東芝、日立、三菱といった企業に渡ったそうだ。しかし、これらの大企業はすべて原子炉の製造販売者だ。原子炉が壊れる事を想定して準備をすることに、製造者としてのプライドかなにかを傷つけられた感じがしたのだろうか。新聞には書いてないが、きっと「原発事故なんか絶対に起きない。こんなロボット無意味だろ」と思っていたに違いない。そんな人間たちに、良いロボを目指し、ギリギリを追究する研究なんかできっこない。役人たちも、その内に原発事故対策に飽きてしまって(事故自体を忘れてしまったのかも)補助金は結局消滅したそうだ。大企業連もロボットの開発に失敗し、プロジェクトを放棄する。

役人と政治家が科学/工学の知識に乏しいことが、この度の失政や誤った判断につながっている。「大企業に金を撒いときゃ、まあ安全」という考え方は、自らの無知を認めたやり方ではないだろうか?本当に原発事故でロボットを活用したいと思うなら、そういう研究に真摯に取り組むグループを調べ上げて、そこに補助金を出すべきだ。しかも長期ビジョンに立って、短期の成果をあまりせっつくことなく。また原発関連会社は外しておく必要があろう。

日本には優れた技術者がいて、すぐれたロボットもたくさんある。政府がちゃんと育成してやれば、Packbotなんかよりずっといいのが作れるはずだ。(とはいえ、iRobotはとてもいい会社で、その製品にも非常に満足しているので、そちらを応援したい気持ちもあって複雑な心境なり。)とにかく早く日本のロボットに現場に入ってもらいたい。放射線でやられたっていいじゃないか!科学も技術も、失敗から経験を積んで成長するものだ:これは、かつての月ロケット競争からの教訓だ。

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