2011年4月10日日曜日

ガイガーカウンターで放射性鉱物を測定する(埼玉の小松菜も)

次に、ラジウムを豊富に含む重晶石の一種(Hokutolite)を測定してみた。これにはバチバチ反応した。メーターリードは1〜10μSV/H程度を示す。ラジウムはα崩壊するが、崩壊後の原子核も放射性物質となり、安定核である鉛206に辿り着くまで、α崩壊を5回、β崩壊を4回行う。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、反ニュートリノなどが飛び出してくるが、もちろん測定するのはβとγ。そのエネルギーレンジは0.064MeV(鉛210のベータ崩壊)から7.83MeV(ポロニウム214のアルファ崩壊)に渡る。

Hokutoliteからの放射線を測定中。

最初のα崩壊、つまりラジウムの放射性崩壊は
22688Ra →(α:1601y)→ 22286Rn
で、半減期が1600年ほど。アルファ線とガンマ線を放出する。ガンマ線の最大エネルギーは4.87MeV。

ところで、このガイガーの較正に使用されている、セシウム137はβ崩壊して、まずはバリウム137の励起状態に遷移する。続いて、電磁放射で、0.662MeVのガンマ線を遅れて放出する(delayed gamma ray)。このγに合わせて測定部分は調整されている、ということの意味を考察してみよう。

4.87/0.662 = 7.3565...だから、ラジウム226がα崩壊する際に出るガンマ線は、セシウム137のガンマ線の約7個分のエネルギーを持っている、ということになる。DX-2が認識するエネルギーは7 × 0.662=4.634(MeV)となるから、この場合の誤差は(4.87-4.634)/4.87 *100 = 4.8%となる。

4.634 (MeV) = 4.634 * 1.6×10-13 ジュール = 7.4 ×10-7 (μJ)である。この放射エネルギーを受け取る人間の体重を60kgと仮定すると、対応する線量は7.4 ×10-7/60 (μJ/kg)=1.2×10-8μ Gyとなる。

次に、この放射線が1秒間に何回放出されるか推定しなくてはならない。較正に使ったのはセシウム137(半減期τ=30年)なので、それを用いてみる。まず、t=0でN0個のセシウム137があったとして、ここから放射線が飛んでくるとする。t秒後の時点で飛んでいった放射線の個数は、半減期の定義から、
N(t)=N0(1-2-t/τ) 
となる。t<<τとしてテイラー展開する。2-t/τ=e-t ln(2)/τだから、
2-t/τ〜1-ln(2) t /τと近似できる。したがって、
dN(t)/dt = N0 ln(2)/τ
が得られる。

仮に、線源のセシウム137が1.37×10-2マイクログラムあったとすると、放射速度は4.5×104 (1/秒)と計算される。

この割合で1時間放出し続けると、、1.2×10-8 * 4.5×104 * 3.6×103 = 1.9 μGy/h。ベータ線もガンマ線も、実効係数は1だから、結局おおよそ毎時2マイクロシーベルトという結果になって、測定結果とだいたい合う。

というか、測定結果に合うように、放射速度を仮定した....この仮定はかなりいい加減だから、出て来た結果には注意しなくてはならない。逆に見れば、測定結果に合わせるためには、鉱物中に0.0014マイクログラムのセシウム137に相当する放射能がある、ということだ。(極微量と考えるべき量。)

実際の崩壊はもっと複雑で、5つのα崩壊と4つのβ崩壊を組み合わせ、しかもそれぞれの寿命が164マイクロ秒のものから1600年のものまで多岐に渡る。つまり、エネルギーや線量で結果を表示するガイガーカウンターの数値は、あまり信用しないほうがよさそうだ、という結論だ。ただ、自分自身で、各々の崩壊を正しく分析し、注意深く較正曲線を作り直して使えば、結構いい予測ができる可能性もある。

最後に、さいたま産の小松菜および茨城県の工場で加工したジュースの放射線の測定してみた。結果はバックグランドと同程度、つまり0μSvであった...(福島産のほうれんそうを是非入手して測定してみたい。)


2 件のコメント:

ちえみ さんのコメント...

物理に くわしくないのですが
おもしろく 興味深く 拝読しました。

フォッサマグナの記事も 拝読しましたが
わたしも 学校で学んだ以上のことは 知らなかったので
今回 はじめて知ることばかりで 驚きました!

今回の原発事故で
福島など 東北、関東の土壌が
高濃度に放射能汚染されています。
自分の ブログに 書きました↓
http://ameblo.jp/manjyumikan/entry-10886145553.html

チェルノブイリのときと くらべても 高い数値と おもわれますが
大々的に 報道されないこともあり 不信にかんじています。

土壌の セシウムは ガイガーカウンターなどで 放射線として ちゃんと検出されるものなのか 知りたくて 検索したら
こちらの サイトに 出会いました。

また うかがいます。

10円まんじゅう

kuzzila さんのコメント...

ガイガーカウンターは、CPMで表示されるものが一番信頼できると思いますが、それでも構造上の問題から、感度はあまりよくないと思います.

一番いいのは、液体窒素に浸しながらつかうゲルマニウム検出器があると便利なのですが、家一軒分ほどの値段がしますので、個人研究の道具としては(当然)不適格です。

近々、ドイツから(廉価な)ガイガーカウンターが届きますので、セシウムに対する感度などを調べてみようと思ってます。続報をご期待ください。

土壌の汚染マップを拝見しました。最近、同僚から聞いたのですが、今話題になっているのが、須賀川、郡山、二本松、福島と連なる盆地のラインがどうして(比較的)高濃度に汚染されているか?です。飯館村のところで、カクッと南方向に風が折れ曲がるなんてあり得ない、という訳です.あるシミュレーションによると、一旦東京上空まで南下した汚染空気が、風向きの変化で回転し、山沿いの低い盆地にそって、千葉群馬の県境辺りから、栃木、白河を経て、郡山あたりで雨と一緒に降下したのでは?という結果が出たそうです.つまり、風向きが変わらなかったり、変なタイミングで雨が降ったとしたら、東京が郡山や福島並みに汚染されていた、ということです。ショックでした。